山本精神分析オフィス

精神分析コラム

2019.06.06

同一化

同一化は一般には神経症的な反応様式ではない。一般に人々は、他の人や、他の人のある側面に同一化する能力を健全なものとして持っている。 防衛的反応としてではなくて。
しかし、また多くの同一化は不安や悲嘆や恥などの苦痛な感情を回避したい欲求や、あるいは脅かされている自尊心を回復する必要性にさらされていると感じたりしている。

また神経症的な同一化として「攻撃者への同一化」がある。 健全な同一化は、尊敬している人物のようになりたいという願望に動機づけられたものであるが、防衛的(神経症的)同一化は自動的ではあるが、力を持っている人から受ける脅威を解決したいという防衛的動機から生じているという。

前者は「お母さんは心が広いし元気が出るように慰めてくれる。私もあんなお母さんみたいになりたい。」であり、後者は「私が反抗しているときのお母さんのお仕置きは恐ろしい。もし私がお母さんになることが出来たら、私の外じゃなくて私の中にあのお母さんの力がある子になる」である。 一般に愛されている対象にも、恐れられている対象にも、その両方の要素が含まれている。

精神分析で使用している場合一部は無意識的であるが、意図的に他者のようになることを意味する成熟した水準を示している。 この能力は、他者をなるごと吸収してしまうような類の、最も幼児期早期の取入れの形式から始まり、他者の特徴選んで身の帯びるような、より微妙で識別性をもった主体的自発的な過程にまでに至り自然な流れとして発展する。

同一化の潜在的能力は生涯を通じて発展して変わっていき、心理的成長や変化の情緒的基礎となると考えられる。

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