山本精神分析オフィス

精神分析コラム

2019.05.09

自己自身への向け変え

人はある否定的な感情や態度をその相手に向けないでその感情を自分に向け換えることがある。 人が自分の生活の安定のため他人の好意に頼らねばならない場合それを受け入れてくれる人が自分よりも上の立場にいてその人に批判的な感情を持っていると、その人に抱いている批判的感情を自分に向け換えることをいう。

例えば、両親が不仲で毎日いさかいの絶えない家庭の子どもであるなら、もし自分がもっと親の期待に添えるような子供ならば親の不仲はなくなるのではと考え自分に批判感情を持つことがよくあることである。 自分に批判感情を持つのは不快ではあるが、この状態を変えていく力が子供の自分にはないというのであれば、実際の脅威を意識するよりもまだ自分に批判感情を向ける方が情緒的には安定するのである。

子どものころには自分がしっかりしておれば両親は自分を愛してくれ、守ってくれるということを信じ込むのは幼い子供にとっては適応的であったが 成人してもまだこの様式であるならば何らかの不快な環境に対して、その状況を改善する努力をせず自分を非難することで対応するならば絶えず苦痛をもたらすことになる。 何か問題が生じるとその問題は第三者から見て明らかに他人に責任があるにもかかわらず自分の責任にするほうを好む。

抑うつ性パーソナリティやある種の性格マゾヒズム性の人によく見られる。

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