夢を吟味する際の一般的留意点
- 夢の吟味には十分な時間を取っておく、一つの夢について吟味するには、最低30分以上は必要となる。
もしもクライエントが面接時間の最後の方で夢を報告した場合には、夢の内容と見た日付だけをメモしておき、次回の面接で詳しく聞く。 - クライエントによる夢の報告終わったら、夢の結末がどうなったのか、夢のなかでクライエント感じた感情(顕在感情)はどのようなものであったのかを確認しておく。
夢から覚めた直後の感想(感じ)も聞いておく。夢の内容や場面構造が分かりにくい場合には、クライエントに絵をかいてもらう。 - 面接記録とは別に夢専用の記録用紙を作り、一つ一つの夢をそれに記録しておくとよい。 面接記録の中に夢を一緒に書き込んでいくと、面接回数が多くなった場合(例えば100回以上)には、過去の夢を読み直すのが大変になる。
- 基本的にはどの夢に対しても、一般的介入のなかの夢素材連想質問と全体感想質問から始める。
- 夢素材連想質問と全体感想質問以外の質問はそれぞれ、それなりの方向性を有している。例えば、対応性質問は夢と覚醒時の生活場面とを対比させるといった具合である。
ただし、セラピストはこのように方向づけることはあっても、夢の意味についてのコメントや解釈は差し控える。
つまり、夢の意味についての教唆や教え込みとならないよう、クライエントに向けて発する言葉に注意する。 そして、あくまでもクライエント自身の心の中で夢の意味が自然に組み立てられていくように、セラピストは質問の選択と組み合わせを工夫する。 - 一般的介入にしろ特殊的介入にしろ、どれかの質問をしたらじっくりとクライエントの連想をまつ。次から次へと気ぜわしく質問を連発しないようにする。
- いろいろな質問をしても有益な連想がクライエントからまったくなされないような場合には、セラピストとしては、セラピストの頭の中に浮かぶ夢の意味(セラピストが書物や臨床経験から得た事柄)をクライエントに話してみたいという誘惑に強くかられるので注意する。
このような場合にはその夢の吟味をいったん停止しておいて、後でその夢と関連がありそうな別の夢が報告されたときに夢関連性質問を行ってみるとよい
夢の一般的介入技法
一般的介入技法は
- 夢素材についての連想を促す夢素材連想質問。
- 夢全体についての感想を問う全体感想質問
- 夢のポイントを問う夢ポイント質問
- 夢に伝達的・警告的な側面を問う伝達
特殊的介入技法
- 夢と夢との関連性を問う夢関連性質問
- 夢自己と覚醒自己との対応性を問う対応性質問
- 夢素材のなかに隠されている感情を見つけるための潜在感情質問
- 夢の質的・抽象的な側面について問う抽象性質問
- 夢素材と覚醒素材とを対提示する対提示質問