山本精神分析オフィス

精神分析コラム

2018.11.15

超自我抵抗

治療者

超自我抵抗は、次のような条件がそろったときに発生する。

  • 楽しんではいけないという親の命令に患者が無意識のうちに従っている場合。
  • 患者がかつて重要だった人物や両親と無意識下で戦っているため、症状の回復が憎らしい両親に勝つことを意味し、そうなることを恐れて、症状を悪化させて自己処罰を行う場合。

「陰性治療反応」、患者は状態を悪化させることで無意識に治療者への怒りを発散する一方、自分を罰しているのである。 治療を求めてくる患者の多くは、「お前はどうせ大した人間にならない」と言い続けていた両親のイメージを内在化させている。 この内在化されたイメージは超自我となるので、患者は生活の上でまた治療において先に進もうとするとき、常にこの両親の命令に従わなければならないと感じる。
心理療法に携わる人はたいてい懲罰的な超自我をもっているので、日常生活や治療で大きな喜びを手にするのを自分自身にも患者にも許容できないでいる。 心理療法家が熟練者になるため長年にわたって日夜トレーニングに励み、トレーニングが完了したとしても、その先何年も昼夜をわかたず働かなければならないのもこうした事情と関係しているかもしれない。

精神分析者の創始者フロイトは明らかに、きわめて懲罰的な超自我に苦しんでいた。
ユングにあてた手紙にこう書いている「仕事をやらずにいられない過酷な衝動を感じます」、「逆転移を克服ための厚い『皮膜』が必要です。結局、これこそが我々にとって永遠の課題なのです。」と語っています。

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