山本精神分析オフィス

精神分析コラム

2020.11.30

力さによる抵抗、および注意をそらすために自己憐憫を用いる抵抗

抵抗

分析治療で努力しなければならないことに対する欲求不満から、無力さが示される夢がある。

ある女性の夢で、治療もほぼ終わりに近く、自分を観察する力をかなり備わってきた時次のような夢を見た。「私は通りを歩いていました。ちゃんと歩いてのですが、曲がり角にさしかかるたびに倒れてしまいました。誰かが、それは先生だったのですが、私を助け起こさなければなりませんでした」

抑うつ状態というのは、自己憐憫とうわべ上の無力さで特徴づけられる状態である。 ちょっと不機嫌といったものから、自殺念慮に至るまでの抑うつ状態は、対人関係における策略だと考えて吟味する必要がある。
たいていの抑うつ状態では、自分の気に入った人以外との関わりを拒否することや、懲罰的な報復によって、人からの働きかけを徒労に終わらせることや、自分が望む反応を他人からせしめるために避難できそうな点をあげつらったり、道徳的なかたちの中傷をしたりする。 分析状況においては、抑うつ状況は抵抗の一つである。

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