患者から分析者に向けられる敵意はほとんど抵抗として考えられる。誠実そうに振る舞う抵抗も秘かに抵抗を表しているのかもしれない。直接的、間接的な分析者に対する挑戦的な態度にも抵抗といえるかもしれない。 その様式では「無力さ」「自己憐憫によって注意を外す」「誘惑」という抵抗も、分析者に対する敵意を表しているのかもしれない。
直接的、間接的挑戦、反抗、関りを拒むなどの抵抗
- 敵意をはっきりと表して怒りを表現する
- 無言になってむっつりと不機嫌になる
- 抑うつ的になって治療に際して分析者と関わろうとしない
- 明らかに自分の問題を避けているという抵抗もある
- 分析者に対してその考え方や技法に対する分析者の実践に正面から挑戦してくる患者もいる
①分析者に正面から怒りを表現する患者がいるが、このような行為は患者が自己表現したことで治療の進展を促していいのであるが、ただ気晴らしのために怒りをぶちまけているのであれば治療の停滞なる。
こういう事にも分析者は注意をしていなければならない。
②また敵意のこもった抵抗には、患者の心の奥に隠されており患者は無意識のときが多い。
患者の思考が停止したり何も浮かばなくなるのは不安や他にも原因があるが「何も浮かんでこない」と言っているときは怒りのある挑戦的な言葉なのである。
またある程度の分析が経過しているのに「連想が浮かばない」言ったとしたら問題となっている領域の探究を拒んでいるのである。
しかし本当に何も浮かんでこない場合もあるということもあり得ると考えられる。
しかし「何も浮かんでこない」という言葉には話し合いを拒否するという意思の表明でもある。
このような場合何か気づきかけているのを無意識的にきづくのに抵抗しているのである。
患者にとっては見たくない触れたくないものなのである。
③分析者は患者の言っていることを静かに黙って傾聴するのであるが、そのことで分析者が頑固だからであり、懲罰的だと感じていることがよくある。
そうすると患者は心の中で反撃する気持ちが芽生え沈黙には沈黙でという行動を取ることがよくある。
④前もって話すことを決めて、気持ちを表現しないように話していた患者が、無意識のうちに深い情動に触れてきていて、そのことに分析者が患者に探求するように促すと、罠にはめられたように感じ、分析者に陰性感情を表現する。
そして患者はせっかく生じた自発的な真の自己の感情を放棄してしまうのである。
⑤患者が分析者に対して間接的に敵意を表すのには多様な方法がある。
例えば、面接の時間に遅れたり、時間をすっぽかしたり、バスや電車などの乗り物を間違えたり等々、また風邪や仕事などの都合で面接を休むとか、このような場合面接を休まなければならないほど大事なものなのか分析者は注意をしなければならい。
また患者が「今日は来たくなかった」と言った時分析治療に対する反感あるいは分析者に対しての敵意を表していると見なしてよい。
⑥もっとはっきりした抵抗では患者が怒って話すのを拒否したり、馬鹿にされていると感じたり、責められていると感じたりして患者が攻撃してくる。
わたしの経験で患者さんとの面接中、私の動作の一つ一つが患者さんの怒りの対象になっていた経験がありました。
座っているとき足を組み替えたり、手の指を少し動かしたりなども患者さんは分析者であるわたしに攻撃されていると感じられていました。
⑦一般に怒りは不安や苦痛な感情に由来すると考えられている。
それは自分の不安感や苦痛な感情から自分を守るため、そのような感情を無意識な状態にしておくために怒りを代理として表現するのだと考えられている。
だから怒りを表しているような場合何が不安感を見ていくのである。
⑧怒りによる抵抗には空想に形をとる場合もある。
ある患者は分析者に対して患者は分析者に競争的関係から分析者より何か優れているものを探そうとして自分は分析者よりクラシック音楽や絵画の方面に優れていると分かると分析者に互いに理解しあえたら情緒的な交流ができるのに残念だと言いながらも私に対して優越感を味わっているというのもある。
⑨他に分析者と関りを拒むのや関りから身を引くのとか、怒りや批判ばかりかやさしさも拒む病的に歪んだ抵抗もある。