山本精神分析オフィス

精神分析コラム

2013.08.03

無意識の思考

無意識

私の臨床心理は精神分析的心理療法であり、その理論は精神分析の理論を基礎としております。

精神分析では無意識の働きが大変重要な概念になっております。それでこの無意識について精神分析の立場から観た無意識の意味を少し述べてみようと思います。


精神分析は医師フロイトFrend.S(1859-1939年)によって創始された精神療法であります。 フロイトは心の無意識の層を、意識(知覚)と比較して大変重要視して、その無意識を考察することから精神分析論をうち立てていったのであります。 ですから初期の精神分析学を深層心理学ともいわれました。

フロイトは無意識の働きが性格形成や神経症の原因・発症に深くかかわっていることを突き止めて、その無意識の原因・発症からの意識(知覚)化が心の問題を解放させえるのだということを解明しました。 ではどのように解明していったのかを観てみましょう。


①フロイトは1885年にパリ大学の精神科医師のシャルコーCharot.JMのところに留学しました。 そこでシャルコーがヒステリーの患者さんに催眠暗示を行ってヒステリー類似の症を作り出しました。このころまだヒステリーは身体病であると考えられていました。 しかし、フロイトは、それが患者さん本人も意識しない無意識(潜在意識・心の奥底)から症状が作り出されていることを知り、心の深層である無意識の世界を探求し始めたのであります。

②その後フロイトはウィーンの開業医でありますブロイラBreuer.Jが1880年から1882年にかけてアンナUと呼ばれているヒステリーの患者さんに睡眠をかけて、 その睡眠状態の中で、いろいろと彼女の症状に関することを自ら語ることで、催眠から覚めた後で、症状がなくなっているのだということを知りました。 症状の問題は患者さんの無意識の世界にあるのだということを学んだのであります。

③また、フロイトは1889年にペンネームBernheim.H.Mのもとを訪れて、後催眠暗示(post hypnotic suggestion)の現象を目の前に観ました。 この催眠では催眠中に何かある暗示をかけて、例えば催眠者が手を打ちたたく被催眠者はすごく水を飲みたくなる、どうしても水を飲まずにはいられない、という暗示をかけておくと、 催眠から覚めた後に催眠者は手を打ちたたくと被催眠者は催眠中にかけられた暗示を全く覚えていないという現象から、 無意識の世界には無意識の思考があると考えざるを得ないとフロイトは考察したのであります。

④このことがあった後フロイト自身も失錯行為である言い間違い、書き間違い、聞き間違い等も単に偶然というのではなく、やはり無意識の思考の働きであることを証明したり、 夢の解釈からも無意識の世界の存在を証明したのであります。 ここで心の構造はどのように成り立っているのかを図に描いてみようと思います。 これはあくまでも精神分析の理論に基づいた仮設から導き出されたものであります。

構造論-心的装置(フロイト,1933)


説明:エスの下部か開いているのは、そこから身体領域の本能エネルギーを取り入れるためであります。 そのエスの領域に流れ入ってきたエネルギーが意識へと向かいます。その時願望として意識化されます。
なお、超自我・自我・エス等は後ほど説明します。

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